訪問看護と終末期のトータルペイン(全人的苦痛)

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トータルペインとは

トータルペインという言葉は緩和ケアをされている方であればよく聞いた事があるワードだと思います。癌末期の方や予後不良の方が体験されている複雑な苦痛の事です。

シシリーソンダース先生は痛みを①身体的苦痛②精神的苦痛③社会的苦痛④スピリチュアルな苦痛の4つに分類しました。では、どの様にして捉えていけば良いでしょうか?

身体的苦痛

・どの様な症状があり、現在行われている治療などの現状を把握する。
・今後どの様な事が起きるのか予測する。
・ADLを把握し自律して行える方法を模索する。
・現在の治療や対応について、利用者様、家族様の満足感を把握する。

精神的苦痛

・普段の会話から、少しの心理的変化に気づける様に意識して関わる
・身体的苦痛や社会的苦痛などの影響もあるので、それらも問題が無いか評価する。

社会的苦痛

・病前の生活状況
・家族構成やキーパーソン、利用者を取り巻いていた生活背景を知る。
・経済的問題等への対応は、さまざまな制度があるので医療ソーシャルワーカーに繋なぐ。癌の方であれば、がん相談支援センターにもソーシャルワーカは在籍しており無料で相談してくれる。

スピリチュアルな苦痛

・相手の想いを理解したいという気持ちを持って傾聴に徹する事が評価になりケアにもなる。
・心を開いた相手だから表出できる痛みである事が多い。

訪問看護とトータルペイン

終末期になり在宅生活での看取りを目標とする場合、多岐にわたる症状、さまざまな薬、生活状況や介護状況、経済面などの把握など、沢山の要因が重要になってきます。急な対応をしないといけない事も多いと思います。なので関わりとして、4つの痛みの概念を頭に浮かべて、きたるべき時に備えて日頃から情報収集をし、検討しておくことは重要だと思います。そして、4つの痛みを分類するだけでなく、利用者様が抱える苦痛のどこを優先的にケアしていくのかを考えていく事も重要だと考えます。

もちろん、身体的苦痛をどの様にして緩和するかが最優先されます。しかし、利用者様が支援を望んでいる所は十人十色。その為、しっかりと傾聴し利用者様のニーズを確認し、多種職で対応していく事が大切だと思います。ワンパターンなマニュアル的な対応は当たり前ですが禁物ですよね。

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