訪問看護・訪問リハビリから見た食事形態の段階

食事で困った人の支援をする時に重要になるのは「姿勢」「食事形態」「食べ方」だと思います。誤嚥は言い換えれば喉の通過の障害ですよね。上手く食道の方を通過せず気管に入ってしまうのが誤嚥。食事形態を変えるという事は食道の方へ上手く通過する様に食べ物に直接アプローチするとも言えます。嚥下調整食を段階付けしたスケールは色々あるのですが、使い勝手の良いユニバーサルデザインフードを紹介したいと思います。

目次

ユニバーサルデザインフードとは

ユニバーサルデザインフードは、2003年に日本介護食品協会が自主企画として策定した区分です。嚥下機能の状態に合わせて下の図の様に4つの区分に分けられています。種類も様々で介護食品やとろみ調整食品などがあります。

山ほどある食事の種類ををたったの4つの区分だけに分けてくれています。めちゃくちゃ分かりやすいですよね。上記の図の様に商品に区分が表記されているので嚥下機能に合わせてマッチングさせやすいと思います。状況に応じてランクをアップダウンできます。レトルト食品は電子レンジでチンするだけなので時短ですよね。味も美味しいですよ。詳細はホームページをご参照下さい。

https://www.udf.jp/outline/udf.html

日本介護食品協議会

食事形態選定のポイント(口腔機能から)

食事形態を選定するには評価しないといけませんが、嚥下評価の仕方は様々あります。参考程度に見て頂けたら幸いですm(__)m。一例として、個人的には食事形態を選定する時は口腔機能と咽頭機能を分けて考えていきます。口腔機能は、咀嚼して食塊形成して咽頭に上手に送り込めているか?咽頭機能はゴックンのタイミングが合っているか?喉の通り具合はどうなのか?という所を焦点として見ていきます。固形物は特に口腔機能や喉の通り具合を強く反映します。口腔機能に合わない食事形態は口や喉に残りやすくなります。ポテトチップスもしっかり噛んで唾液と混ぜ合わせて食塊形成させないと口や喉に残っちゃいますよね。口腔、咽頭残留があると必ず誤嚥すると言う分けではありませんが、誤嚥を予防するには残留しない方がやはりベターだと思います。

口腔機能はみていくには「嚙む力」「歯の状態」「舌の動き」の3つが特に重要です。噛む力は咀嚼筋や咬筋が働いて顎を回旋させて咀嚼しているのかをみます。歯は前歯や奥歯の歯並びがどうなのか、舌の動きでは、上下左右に動かす事ができるのかをみていきます。区分の「容易に噛める」、「歯茎でつぶせる」の場合は歯や噛む力も大事ですが舌の側方への運動も重要になります。咀嚼するには歯の上に食べ物を乗せないといけないので側方の運動は重要です。区分の「舌でつぶす」だと口蓋に押しつぶす為に舌の上方向の運動が重要になります。それも難しい様なら区分の「噛まなくてよい」形態になります。

食事形態選定のポイント(咽頭機能から)

では、口から咽頭に送り込んだ後、咽頭機能はどの様にみていけばいいのでしょうか?聴診器があれば頸部聴診で評価できますが困難事例は評価が難しくなってきます。VEやVFがあれば画像として嚥下障害を捉える事ができるので心強いです。しかし検査できない環境の人の方が多いのではないでしょうか。ここでは聴診器やVE,VFが無い環境で食事介助をする場合の観察からの咽頭機能の評価を説明したいと思います。観察からなのである程度評価の精度に限界はありますが、実際、聴診やVE,VFが無くて観察から気づいて予防できる事もあると思います。

ちなみに上記にある咽頭機能の喉の通り具合というのは、1口に対して何回ゴックンするのかという事です。3回も4回もゴックンするという事は喉に残りやすく通り具合はあまり良くないという事になります。(固形物の選定が上手くいっていない時も同様の事が起きる可能性はあります。)1口に対して2回ぐらいなら健常者でもある事なのであまり問題視しなくても良いかもしれません。ただ食事の観察のなかで、3回も4回もゴックンする場合は要注意です。その後にムセがみられる時は一口少量摂取や交互嚥下、固形物のランクdownを検討してみて下さい

咽頭の感覚が悪い場合や、認知症で咽頭に注意が向かず喉に食べ物があると認識しにくい場合は、飲み込んでもゴックンをなかなかしません。もしくはゴックンと飲み込んですぐぐらいにむせる場合に嚥下反射遅延を疑います。特に水分摂取でよくみられます。それは水分だと口腔~咽頭を流れていくスピードが速くなるので、咽頭の感覚が悪く反応が鈍くなるとゴックンのタイミングが合いにくくなってきます。飲み込んでもなかなかゴックンしない場面を観察した場合は、トロミ付けやユニバーサルデザインフードの「舌でつぶせる」「噛まなくてよい」の方が良いかもしれません。トロミを強くしたり付着性の強い食べ物は咽頭壁に引っ付きやすくなります。ゴックンをなかなかしなくても引っ付いている間は気管に滑り落ちにくくなるのでゴックンするまでの時間稼ぎになると思います。ただあまり強すぎるトロミ付けは逆に喉に引っ付きすぎて飲み込みにくくなるので要注意です。

まとめ

嚥下障害の利用者様の食事形態を選定するのにVEやVFがあれば心強いですが検査できない環境のなかで選定しないといけない事の方が多いと思います。けどよく見てみると普段行っている食事場面の観察からでも分かる事は多いかもしれません。今回はざっくりとした選定のポイントを説明させて頂きました。とはいえ、難しいケースは無理をせず専門職に助けてもらうのが良いですね。

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