「薬が飲めない」「薬が飲みにくい」嚥下障害の内服方法の選定の難しさ
小児から高齢者まで、嚥下障害がある利用者が服薬する時に、どの服薬方法が最も安全であるかを評価し選定する事は、医療従事者にとっても難しい問題だと思います。嚥下障害のある利用者全員に同じ方法が適応する事は無く、個々の利用者の嚥下状態に合った服薬方法を選択する事は言うまでも無く必須です。ここでは、嚥下状態に合わせた内服方法を説明したいと思います。具体的には経口からの内服方法の種類は下の図1の様にまとめる事ができます。
図1
薬の飲ませ方の方法
ゼリーを使用
ゼリーは市販されている服薬ゼリーも良いが、菓子のゼリーを使用しても良い。
適応
ゼリーが食べれる人。喉にゼリーが残留しない人
方法
スプーンで1口分をすくい、錠剤を包む。
水分にとろみを付ける
嚥下機能が低下すると特に水分で誤嚥しやすくなる。服薬時の飲水でむせる時は、水分にとろみを付ける事も選択肢の1つである。(水分のトロミのつけ方はこちら)
適応
とろみをつけた水分を誤嚥しない人、内服の飲水時にとろみを付けていない水だとむせる人
方法
A)①薬を口に入れ、とろみをつけた水分をコップや吸い飲みで飲む
B)①スプーンでとろみ水分をすくい、錠剤を乗せる。そのまま口に運び飲み込む。
②口の中に薬が残らないよう、数回とろみ水を飲む
③口の中に薬が残っていないか観察する
オブラードの使用(粉薬)
粉薬(散剤)が飲みにくい場合は、オブラートを使うと飲みやすくなる事もあります。オブラートに包んでお薬を飲むとき、そのまま口に入れてしまうと、オブラートが口の中に貼り付いてしまいますが、オブラードに水をつける事で飲みやすくします。
適応
オブラードを口に入れた時に噛まない人
方法
①お薬をなるべくオブラートの中央に乗せて端の方をねじります。
②オブラートをスプーンにのせ、水をつけてなじませる。(この時にオブラードがゼリー状になる
③噛まずにつるっと飲み込む
食事に混ぜる方法
散剤を食物全体に混ぜてしまうと味が変わってしまったり、全部食べきれないことがあるので、一部分に薬を混ぜるようにする
適応
ゼリー食、ペースト食やお粥を食べている人
方法
①食物をスプーンですくう
②錠剤が隠れるように埋め込む(散剤は食物に混ぜる)
③口に入れる
④飲み込む
簡易懸濁法
適応
錠剤を嚥下するのが困難な人
薬や食物が口腔内やのどに残りやすい人
水分にとろみが必要な人
方法
①コップに入れた約55℃の温湯5〜20㏄の中に1回分の薬を入れかき混ぜる。
②約5〜10分間放置すると錠剤の形が崩れ、飲むことができます。
③とろみが必要な人は、とろみ剤を入れてとろみをつけたものを飲む)
【注意】
簡易懸濁法で溶けない薬では行えない
苦味のある散剤の場合、薬を嫌がり、飲まなくなることがあるので、薬剤師に相談する
全てのお薬が簡易懸濁に適しているわけではありません。
簡易懸濁法に適しているかどうかは医師・薬剤師に確認して下さい。
まとめ
摂食・嚥下障害利用者の摂食状況のレベルが改善したり、悪化したりする事がありますが、服薬方法もそれに合わせて選定していく必要があります。場合によっては貼付剤や坐剤等の外用薬は服薬せずにすむので本人や介護者にとっても負担軽減になります。服薬管理は幅広い専門的な薬の知識や本人・家族の管理能力・嚥下機能評価などが必要なので、多種職で支援する事が重要ですね。
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