訪問看護・訪問リハビリから見た直接訓練 |嚥下リハビリ

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直接訓練と間接訓練の違いとは?

嚥下リハビリを2種類に分けると間接訓練と直接訓練があります。間接訓練は食べ物を用いない訓練で、舌、頬、咽頭の運動や喉頭挙上、胸郭の運動等があります。直接訓練というのは、その名の通り食べ物を直接飲み食いし嚥下機能を維持・改善させていく訓練の事を言います。今回は直接訓練についてまとめてみました。

直接訓練開始基準

どのタイミングで開始するのでしょうか?「嚥下障害、診られてますか?」より一部抜粋してみました。

全身状態:安定してから始める
・CRP値が高い場合、頻呼吸がある場合は改善を待つ。
・酸素マスクが投与されている場合は鼻カニュラの装着ができるまで待つ。
・痰が多く常にゴロゴロしており頻回な吸引が必要な場合は痰の減少を待つ。
意識障害:JCS1桁
気管切開:発声可能なタイプのカニューレに変更してから始める。
リスク管理:吸引の準備とバイタルチェックを行う。
栄養管理・投薬方法:経口摂取を開始してもすぐに必要栄養量・水分量を摂ったり内服ができる分けではない。栄養管理・投薬方法の検討は必要

嚥下障害、診られてますか?| 谷口 洋

在宅でサービスを提供する場合、開始するにあたり上記の条件通りにならない事も結構多いので、DR,NSとの連携はかなり重要になってくると思います。

直接訓練の目的

直接訓練の目的は2つあります。残存機能を生かして出来るだけ経口摂取を継続する目的での「代償的摂取法」、経口摂取を繰り返す事で機能を改善させていく事を目的とした「機能回復訓練」。どちらにしても、最終的には誤嚥性肺炎を予防し、出来るだけ本人が好きな物を摂取するという事が最終的な目的になるかと思います。

直接訓練時に気をつける事

直接訓練は食べる訓練なので、ムセの回数が多ければ多いほど当然誤嚥性肺炎や窒息のリスクは高くなりますよね。ムセの回数を出来るだけ減らす事は、多くのケースで誤嚥性肺炎予防の第一選択になると思います。では食事介助中(直接訓練)にムセが見られて何とかしたいなあ~という場合にはどうしたら良いのでしょうか?その様な時は「姿勢」「食事形態」「食べ方・食べさせ方」が嚥下状態に大きく影響していますので個別に見直し・適宜修正していくのが良いと思います。

食事姿勢  

姿勢が変わると飲食物を摂取した時の口の中や喉の通り方が変わります。当然の事ながら全ての問題点を解決する姿勢というのは無くて一長一短。その人に合わせた姿勢の選定が大事になってきます。詳細はこちら➩嚥下しやすい姿勢

食事形態

嚥下しやすい状態から始めて段階的にアップダウンしていきます。ユニバーサルデザインフード嚥下調整食分類2021の基づいて選定していくのがお勧めです。

食べ方と食事介助

自力摂取や介助摂取時の食べるペースが速くなったり、一口量の問題でむせる事があります。食べ方、食べさせ方という所も誤嚥に大きく影響します。誤嚥リスクの高い人は1口少量で3gが勧められています。ただ3gだと食事時間が長くなってしまいますので様子みながら少しづつ1口量を多くする事も重要だと思います。また、認知症の人や咽頭の感覚が悪い方は1口少量だと刺激が弱くゴックンしない事もあります。その様な場合は、冷たい飲食物や1口量を逆に多くして刺激を強くし、ゴックンを促す方が良い時もあります。あと、自力摂取だとペースが速くむせる人は介助摂取に切り替える方が良い場合もあります。ケースバイケースになってくるので、現場で介護されている皆様のアイデアや工夫・提案もかなり重要になってくる所だと感じています。

在宅での直接訓練

安全に食事を摂取する為に、食事場面で直接的に介入し調整していくのは「姿勢」「食事形態」「食べ方・食べさせ方」という所が要になってくると思います。しかし、在宅の場面でよく遭遇するのは「食事形態」は本人の希望があり変更できない。「姿勢」は施設の都合もあり座位で食べるしか選択肢が無いなど。変更したいけど変更できず悩ましい時が多々あります。

その様な時は、「姿勢」が変えられないなら「食事形態」「食べ方・食べさせ方」中心に調整する。「食事形態」が変えられないなら「姿勢」「食べ方・食べさせ方」中心に調整する。「食べ方・食べさせ方」が変えられないなら「姿勢」「食事形態」中心に調整するといった視点でアプローチして行く事も一案ではないかと個人的に考えています。ただ相手側の要望に沿って(食事形態を変えたくないなど・・)アプローチするとリスクが高く、こちらの意見を優先的に通さないといけない場合は、必要性を説明しご理解を頂くようにするのは言うまでもないと思います。基本点な事ですが、そう言う時の言い方や説明の仕方という所が特に在宅での関わりでは大事だと日々感じています。

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